研究助成

2022年度 ビジョナリーリサーチ継続助成(ステップ)

アミロイドの人工的制御を目指して

研究題目 アミロイドの人工的制御を目指して
年度/助成プログラム 2022年度 ビジョナリーリサーチ継続助成(ステップ)
所属 理化学研究所 脳神経科学研究センター タンパク質構造疾患研究チーム
氏名 田中 元雅
キーワード アミロイド / 構造多型 / プリオン
研究結果概要 プリオンの伝播に必須であることが明らかになっているSsa1/Sis1シャペロンが酵母プリオン蛋白質Sup35に結合するアミノ酸領域を核磁気共鳴法から明らかにした。その結果、Sup35の143-164アミノ酸領域に結合することを見出した。その143-164アミノ酸領域を欠損させたSup35線維を作製し、脱凝集アッセイを行ったところ、脱凝集が観測されず、プリオン株が野生株に変換された。また、Sup35のS17R変異体のアミロイド線維では、Ssa1/Sis1シャペロン結合部位がアミロイドのコアに埋もれているためSsa1/Sis1が結合できずに、脱凝集が生じないことを見出した。その結果は、S17R変異体のプリオン株が非常に不安定で酵母がセクタリングを示す事実をよく説明した。しかし、Ssa1/Sis1シャペロンの結合領域をSup35に人工的に付加したところ、S17R変異体のアミロイドが脱凝集されることを明らかにした。以上の結果から、Ssa1/Sis1シャペロンのSup35の143-164アミノ酸領域への結合が脱凝集およびプリオンの伝播に必須であることを明らかにした。
公表論文 Exposed Hsp70-binding site impacts yeast Sup35 prion disaggregation and propagation. Shen C.H., Komi Y., Nakagawa Y., Kamatari Y., Nomura T., Kimura H., Shida T., Burke J., Tamai S., Ishida Y., Tanaka M., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 121, e2318162121 (2024).