研究助成

2024年度 高等学校理科教育振興助成

生徒実験用押し引きばねの試作と実験デザインの検討

研究題目 生徒実験用押し引きばねの試作と実験デザインの検討
年度/助成プログラム 2024年度 高等学校理科教育振興助成
所属 群馬県立富岡高等学校
氏名 茂木 孝浩
キーワード ばね定数の測定 / 押し引きばね / ばねの製作 / 生成AI / 思考する物理実験
研究結果概要 本研究は、生徒が抱く「ばねは伸びるのみで縮まない」という誤認を解消し、伸縮自在な「理想的なばね」の概念定着を図る教材および生徒実験プログラムの開発を目的に実施した。1本のばねで押し・引き両方向の測定が可能な「押し引きばね」を試作し、高校1年生69班を対象に授業実践を行った。試用ばねの構造上、座巻の影響等により同一ばねであっても押し方向と引き方向でばね定数に統計的な有意差が生じる現象が判明した。本研究ではこの不一致を学習課題に組み込み、「理論上は完全に一致する」と回答する生成AIの出力を事前提示した上で、生徒に実測値の信頼性や不一致の物理的要因を考察させる授業デザインを構築した。分析可能な29班のデータを検証した結果、83%の班がAIの理論値に惑わされることなく、実測値に基づき「押し方向のばね定数の方が大きい」という正確な結論を自力で導出した。本取り組みにより、ばねの基本性質の体感的な理解にとどまらず、理論と実測の違いを主体的に検証・探究する「思考する物理実験」の極めて高い教育効果と有効性が実証された。
公表論文